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HOMESPECIAL > 母親の味を再現した漬け物で販路拡大

添加物のない漬け物

-そもそも漬物屋を始めるきっかけは何だったんでしょう。

遠藤さん 家は元々呉服屋を営んでいたんです。私は商学部出身でコンピューターのプログラミングをしていたのですが、人と接する仕事がしたいと考えていました。元の呉服屋の店舗を使って何かしようと思っていたのですが、母親が漬け物を作るのが上手かったんです。それが評判になっていて、思い切って漬物屋を始めたのです。

-お母さんの漬け物のおいしさの秘密はあるのですか?

遠藤さん 化学調味料など添加物を一切入れないのです。普通はアミノ酸を入れて味を増し、賞味期限も長くしますが、元々の野菜がおいしいので添加物を入れる必要がないのです。そのため、おいしい野菜を地元の農家と契約して栽培、提供してもらい、漬け物にしています。だから季節の野菜だけです。白菜など夏場に無理に作るとおいしいものができない。野菜が間に合わないときは地元にこだわらず、長野県産も使うこともありますね。

契約農家との連携が増す

-農商工連携事業計画認定事業者になっていますね。

遠藤さん 漬け物はやはり農家の方々との連携が欠かせないものです。折角おいしい野菜を作っても形が悪いなどの理由で出荷できない野菜があります。そんなものでも漬け物に加工することでおいしい食材が出来上がります。規格外の野菜を利用することも考えました。

-農家さんからの提案もあるのですか?

遠藤さん 私は契約農家の方を職人さんと呼んでいます。野菜作りの職人で、アイデアを頂くこともあります。例えば「山芋のからし漬け」が評判なのですが、これも農家さんからの提案でした。おいしい野菜は生産者が一番知っていて、それを漬け物にしていきます。

販売はあくまで対面が基本

-ネットでの受注がありますが、販路を広げるための方法は?

遠藤さん フードセレクションなどの展示会には積極的に出店しています。物産展などの催事販売で実際に食べてもらうことでリピーターを増やして行ってます。試食販売は漬け物では欠かせないものです。

-地道な努力が実ってきたのですね。

遠藤さん よく催事などで一緒になる他の商売の方と、「どうしたら茨城の商品は売れるのか?」話します。最初は販路を探すのに苦労しましたが、実際に食べてもらって納得してもらい徐々に広げてきました。恵比寿ガーデンプレイス、三越、水戸京成百貨店さんなどで扱ってもらっています。一度食べるとリピーター性の高い食べ物なので、受注生産という形は続けていきたい。でもいかに「ブランド」にするかが大切だと思います。

漬け物の将来を見通す

-漬け物は将来も安泰でしょうか?

遠藤さん 実際に試食販売していると、4、5歳といった子供たちがすごく興味をもって食べてくれます。私のところでは一袋食べきりサイズで販売しており、新鮮な状態で食べてもらえます。そのため回転数も上がるというメリットもあります。漬け物をサラダ感覚で食べてもらえるようにしたいですね。

-それにはやはりおいしいという条件が必要でしょう。

遠藤さん 年間40種類ほど作っていますが、セロリ、アスパラ、ミニトマトなど新しい漬け物にもチャレンジして行きたいですね。和でも洋でも使える漬け物です。サラダと漬け物は同じで、できれば漬け物を主食にしていきたい。漬け物をおかずにするということは可能だと思っています。

 

【取材録】

 菜香やは漬け物業界では新参者ですが、一口食べてみるとその味の良さに驚きます。添加物を加えないことで口の中に薬味が残らない、野菜そのものの味が楽しめます。若き店主遠藤記生さんの追求する「口に残らず心に残る味」という理想がそのまま現れた漬け物です。しかし単なるおいしい漬物屋さんに終わるのではなく、漬け物という食品の位置づけをより高く−といった想いが農商工連携事業の認定にもつながったようです。
ホームページ/http://www.na-ka-ya.com/

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