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HOMESPECIAL > 農のサイクルを肌身で感じる『常磐大学ファーム』

 茨城県常陸太田市上利員(かみとしかず)の畑。手書きの素朴な看板には「常磐大学ファーム」とあります。伺った時は、ジャガイモやタマネギ、ニンニクの収穫。「わー、すごいね。おいしそうじゃん。先生、これでパスタ作ろう」と学生の弾んだ声。「そうだね、シチューもいいかな」と先生。
常磐大学人間科学部健康学科の秦順一教授、松原哲哉准教授と学生の皆さんです。同科は食と健康の専門家、指導者である管理栄養士や栄養士を目指し学ぶ学科です。(写真=栽培指導役の木村さん)


学生たちと土とのふれあいの場作り

 大学農園ということでしたので、実はさぞや、広大な所かと思っていましたが、同農園はけっして広くはありません。しかしこの農園は、松原准教授が地域振興のミーティング等でこの地域を訪れる内に、地元の木村芳之さん(同市上利員)と知り合い、意気投合し、「栄養士を目指す学生たちに農業や土とのふれあいを実際に体験してもらおう」との思いで誕生した、温かな思いから生まれたものです。今年が2年目、麦をはじめ、さまざまな野菜、また麦の裏作でソバも育てるとのことです。
 秦教授は「頭の学問だけではなくて、土をいじり、成長をみながら、それを収穫し、食べてみる。このことを学生のみんなが体験することで、なぜ管理栄養学が大事で、人のくらしに食物や自然が大事かということの理解となるのです」と話してくれました。
 学生の皆さんの反応はどうでしょうか。「ええ、気持ちいいです」「ものが収穫できるのは楽しい」と、活動を楽しみそして「こういう経験ってやっぱり将来に役立つと思う」と。
 土地の提供者で栽培指導役の木村さんは、「将来を栄養指導や食品安全などを目指す若い人たちの農業体験は意味がある。またこの地域と触れ合ってもらうきっかけともなる。土を知り、どんな所で作られるのかを知ることは大事ですから」と話します。

机上の学問では培えぬもの

 震災、伴う原発事故により、「食の安全」は、必要以上に揺らいでいるようにも思えます。数値的な不安、そして追い討ちをかけるような風評。このような状況の中で、この大学ファームの実践からは、食や農を明るく、分かりやすく捉え、学びにつなげていこうというおおらかな姿勢が感じられます。
 食に関しての専門性や知識の蓄えが要求されることはもちろんですが、一方、目的やねらいに対しての大きな捉え方やリテラシーを育むことは必要なこと。筆者は、常磐大学人間科学部健康学科の常磐大学ファームの取り組みは、ただ机上の学習だけでは補うことのできない、成り立ち、循環など、食の土台を肌身で感じられる取り組みであると思いました。



 後日、同学調理室で、収穫した野菜を学生のみなさんが実際に調理をする食の会が開催されました。学生のみなさん、先生方の自ら収穫した野菜をにこにこと口にされる姿は、さわやかで気持ちのよい光景でした。 

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