いばらきの生産者

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風薫る五月、水の張られた田んぼは青空を映してきらめき、今年も茨城の大地では稲作のシーズンが幕を開けようとしています。今から15年前、大学卒業と同時に子どもの頃からやりたかった農業に就いた横田さん。お父様はそれを機会に家業を法人化し、活躍の場を整えて迎えてくれました。当時の耕作面積は16ha。高齢化でリタイアしていく周辺の農地を借り受けながら年々拡大し、15年後の現在は100haを超えました。大幅な生産コスト削減を実現した先進的大規模稲作経営が評価され、平成25年度天皇杯を受賞。その急成長の背景とは。

100haの田んぼをたった1台の田植機とコンバインで

—他に類を見ない経営が高く評価されましたが、まずは費用を抑えるために最も寄与していることはどんなことですか?

横田さん コスト削減の要因は、まず100haもの圃場が狭い範囲に集中しているということです。農業機械もほとんど自走で移動することができます。最初は作業を手伝っていたご近所の高齢者の農地を預かるようになり、隣が預けるならうちもという感じで地続きで規模拡大してきた経緯があります。更に隣接する圃場に関しては双方の地主さんの許可をもらい、畦畔を取って1枚につなげさせていただき、作業効率を大幅に改善することができました。植え付けの方法や栽培品種により、田植えと稲刈りそれぞれ2ヶ月のスパンがあり、田植機とコンバインはどちらも1台で、すべての圃場を回ることができるのです。

柔軟な取り組みが更なるコスト削減を実現

—栽培面での取り組みについてはいかがでしょうか。

横田さん 一般的な苗の移植に加えて、試験的に導入していた直播栽培を本格的に取り入れるようになりました。乾田直播の収量は移植とほとんど変わらないか、年によってはこちらの方が多いくらい技術的に安定してきました。乾田直播、湛水直播、移植、この3つを組み合わせることで春の作業が分散化され、少人数で効率的に植え付け作業ができます。

 また、紙マルチを使った有機栽培法や、へアリーベッチという豆科植物を使った緑肥栽培など、様々な栽培法を実験的に取り入れています。それによって除草や施肥にかかる手間と経費が軽減し、収穫期も幅が広がって作業が分散化されます。こうして栽培方法や育成種を多様化することでリスクの分散にもなり、結果的にコスト削減につながったということです。

消費者に育てられた意識

—横田さんの経営方針の基礎はどこにあるのですか?

横田さん 平成10年に農業に就いた時から、販売まですべて自分でやりたいと思い、ホームページを作ってネットユーザーを中心に直販を始めました。ほとんどの米農家はよそのお米を食べたことがない。なのにみんな自分で作ったお米が一番だと言います。でもそれは大きな間違いだと思います。評価は消費者が下すことで、そこから自分たちの位置を確認することができるのだと。自分の場合、厳しい意見を元に、何がダメなのか、どうすれば良いのか、生産現場にフィードバックしていくことで、作り手にとってではなく、食べる人にとってより良いお米を作るようになりました。メールのやりとりで直接届く消費者の声に応えようとすることで、「農産物ではなく「商品を作っていくという感覚になり、「出荷」から「販売」していくという意識に変わってきた。今日の横田農場はネットのお客様に考えさせられ、育てられたと思っています。

子どもの未来に照準を合わせた経営

—一番の訴求先はネットユーザーですか?

横田さん 軌道に乗っていたネット販売が震災を機に激減し、地元のスーパーに置いてもらうようになりました。それを機に販売方法が変わり、地元のお客様に一番食べていただくようになってきました。

 そもそもうちの米を誰に食べてもらいたいかと言えば、私自身も6人の子育て中ということもあり、お子さんのいるご家庭に、安心でおいしい米を、手頃な価格で食べてもらいたいという気持ちがあります。米を食べて生きてきた日本人の食の文化と、この素晴らしい環境そのものを次の世代に残していきたい。そのためには、どういう経営であるべきか。そうして六次産業や田んぼの学校などの活動にも取り組むようになりました。

米と田んぼを次世代に引き継ぐのが使命

—大規模で特色のある稲作経営が高い評価を受け、消費者やこれから農業を目指す若い方に与える影響も大きいかと思います。それに伴い横田さんが果たしていく責任も大きくなったのではないでしょうか?

横田さん 米を作り米を食べるということは、日本人のアイデンティティの一つです。これを絶やすことなく明日につなげていくことが横田農場とっての使命と思い、特に子どもたちに米を食べ続けてもらいたい。子どもたちに食べてもらうには、まずお母さんたちに手に取ってもらうことが必要です。米粉を使ったスイーツは、若いお母さんたちにお米に関心を持ってもらう一つの入り口になっています。24年には農産加工コンクールで最優秀賞を受賞するなど高い評価を受け、米加工品の活用促進にも新たな光をもたらしてくれました。

 今時は農家でも田んぼに入ったことがない子が多く、都市部ではなおさらです。そんな子どもたちに食と環境を考えてもらう機会として始めた「田んぼの学校りゅうがさき」では、田植えや稲刈り体験、専門家を招いての生き物観察、そして必ず自分たちが作業したその場所で、塩結びを食べてもらいながら、田んぼがお米を作るだけの場所ではない、その大きな価値を感じてもらえればと思っています。そうした体験をした子どもたちであれば、今後たとえ海外のものが店頭に並んでも、自分と自分のたいせつな人にとって、本当に価値のある米を選んでもらえるのではないかと思うのです。

 

【取材録】

横田さんのご両親は、子どもの前で決して農業がつらいとか厳しいとか言わなかったそうです。「まんまとのせられた」と笑う横田さんは、幼い頃から田んぼの風景を愛しやりがいのある仕事と思って育ち、今も全く変わらぬ気持ちで仕事に臨んでいます。だからこそ楽しい発想が生まれ、先に進む勇気もわいてくる。そしてご両親がしてくれたのと同じことを、日本の子どもたちの未来にプレゼントしてようとしています。

■有限会社 横田農場
茨城県龍ケ崎市塗戸町2047
Tel. 0297-64-5813
Fax.0297-64-9743
ホームページ http://www.yokotanojo.co.jp

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