いばらきの生産者

HOMETOPICSTOPICS01 > 野口徳太郎商店

安政6年のペリー来航後、ハリスと交渉し日本からの輸出品となった「猿島茶」は日本でも有数の伝統と歴史を誇る農産物です。葉肉が厚く、コクのあるお茶として親しまれている猿島茶も、茶葉の販売だけでは他の産地のブランド品に負けているのが実情です。そこで茶の生産現場から栽培、加工までを見据えた全く新しい取り組みが始まっていました。

茶の加工に創意工夫の日々

-野口徳太郎商店さんは茶の販売では老舗ですね。

野口さん  初代・熊太郎が創業者で明治7年からお茶の製造販売に取り組んでいます。次いで松太郎、徳太郎、盛太郎と続いて、私が富太郎と5代目にあたります。以前は加工問屋だったのですが、3代目になって会社組織となり「野口徳太郎商店」と名乗っています。

-富太郎さんは積極的に各地の販売現場へも出かけていますが。

野口さん  県の物産展などには必ず出店しています。それはお客様の声を直接聞ける良いチャンスだからです。味はお客様が決めることだと思っています。お客様の真の考えが分かる。職人になってしまってはいけないのです。そこで15年ほど前には、お茶の葉を残さず飲める粉末のお茶を製造しました。これは茶殻も出ない合理的なものです。

高齢化による茶栽培の現場に一石

-お客様の要望に応える一方、お茶の栽培現場にも耳を傾けることが必要ですね。

野口さん  ほかの農業と同じように、茶の栽培農家も高齢化が進んでいます。そのため、耕作されない茶畑があちこちに出現しています。これを何とかすることができないかと考え、お茶の種子に目を付けたのです。

-お茶の種子というのは普段は余り目にしませんが。

野口さん  お茶は若芽を摘みますが、放っておけば花を咲かせて結実し、種子ができます。この種子を利用することができないかと考えたのです。耕作できなくて背丈の高 い茶畑があちこちに生まれていますが、それを活用できるのです。落ちた種子を拾い集め、これをさまざま食材として活用する方法を考えました。

お茶の種子から油を絞る

-お茶の種子にはどのような利用方法があるのですか?

野口さん  葉とともに粉末にすることでお茶が引き締まるのです。種子には渋味があるのですが、これが甘味とうまく溶け合います。種子にはビタミンなどの栄養素も多く含まれており、栄養価の高いお茶を楽しむことができます。

-さらに新しい商品開発にも臨まれていますね。

野口さん  種子を絞ることで良質のオレイン酸が採れます。昔はお茶の油を燃料にもしたそうですが、お茶の油を使ったドレッシングなどの活用も図れると思っています。

新しい産業への可能性広がる

-オリーブオイル並の製品ができるのですね。

野口さん  この事業は国の地域資源活用プログラムの認定を受けました。この認定を受けたことにより、種子の毒性検査や香り、オイルの特性、さらに経営面まで含めた研 究を進めることができました。幸い、日本の食の安全、安心は世界ブランドになっています。このお茶の油は世界規模で販売できるものと確信しています。

-商品化はいつ頃になるのですか?

野口さん  ドレッシングは来年3月か4月にはできますが、輸出を含めて5カ年計画で進めて行こうとおもっています。種子の収量を増やさなければならないなど課題もあります。さらにお茶の花にも着目していて、「葉」と「種」と「花」の3つで何か機能性食品ができないかと考えています。

【取材録】

 野口徳太郎商店の試みは、お茶の新たな可能性を探る挑戦でもあります。耕作放棄された茶畑の新たな活用と新商品の開発は、これからの時代にあった事業展開のビジネスモデルともなりそうです。現在は声を大にしては言えないことですがお茶には「血液さらさら」「コレステロールを下げる」効果があるのは明らかです。5代目富太郎さんは3つの優しさをポリシーに掲げていました。「地球環境に優しい」「体に優しい」そして「僕に優しい」といいます。優しさあふれる表情に強い意志と決意が垣間見えます。

■株式会社 野口徳太郎商店
茨城県猿島郡境町1144
Tel. 0280-87-0128
Fax.0280-86-7700
>WEBストアー http://www.greentea-store.jp/

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