COLUMN 01 未来農業報告書

HOMECOLUMNCOLUMN01 > 新規就農者希望者を導く

FC事業で就農者を支援。新たなビジネスモデル構築を目指す

 農業をやりたい!という若者にとって、実家が農業を営んでいない以外、どうすれば農業を始められるのか?迷いは大きいものです。職業として農業を目指しても農業という世界は意外に門戸を開放していないのが現状です。ユニオンファームではこれから農業を目指す若者に、農業のイロハを指導し、有機野菜の分野で独立してもらい、職業選択のひとつに「農業」という業種を加える取り組みを行っています。

新規就農へのシステム

 ユニオンファームは農業資材を販売するアイアグリ(本社・土浦市)の支援を得て2000年に農業生産法人としてスタートしました。以来、有機栽培での研究を重ね、葉物野菜を中心に独自の栽培技術を確立してきました。JGAPの認証を受ける農場を設立し、つぎに目指したのは新規就農者の育成事業でした。2005年に第1期の就農希望者を受け入れ、独立のための育成を始めました。
 基本的に研修生は2年間の研修を受け、有機栽培農業の基本を身に付けます。その間、研修生は有給で農業を学ぶ事が出来、農業人として独立への未来予想図を描いて行きます。2年の研修を経て、いよいよ独立となり、農地を借りて農家としての第1歩を踏み出すことになるのです。
 その間、その後についてはすべてユニオンファームが就農者のフォローを行う態勢が整っています。生産から販売までユニオンファームが支援し、生産物の販路が確保され、独立しFCに加盟した農場オーナーは安定収入が図られるシステムです。

WIN&WINの関係を作る
 有機野菜の販路は日本の野菜の分野ではわずか0.2%と言われています。しかし、有機野菜に対するニーズは今後、大きな需要が望まれる分野です。消費者の選択肢として大きな市場が待ち受けていると、ユニオンファームの玉造洋祐社長は大手スーパーなどへの販路拡大を確信しています。

 さらに、「独立した就農者の生産物は全量買い取ります。手当する農地は耕作放棄地など手間の掛かる農地ではなく、高齢化した人がやむを得ず耕作している農地を借り受けます。このため、農地所有者や農業をやる気のないその後継者に地代を支払います。先祖代々の農地が守られ、しかも収入が得られるというメリットがあるのです」と玉造社長。
 農地を手放せない農家と新規で農地を借りたい就農者とのベストマッチングで日本の農地を守り、さらに生産性の高い野菜を作り出す-それがユニオンファームのビジネスモデルなのです。

就農者たちの意欲

 第1期生となり、初年度から黒字化に成功したのは大木貴行さん(31)です。5年前に独立し、現在24棟あるハウスで水菜、ホウレンソウなどを栽培しています。収穫などはパートさんを雇い、午前中に収穫し、午後にはユニオンファーム本部の選別場へと野菜を出荷する毎日。「私が最初に独立したので、後に続く就労希望者の相談相手になれば」とフロンティア精神にあふれた頼もしい言葉が聞けました。
 第4期生で長野出身の野口直樹さん(36)は元SEという異色の経歴の持ち主です。水戸で開かれた農業人フェアでユニオンファームに出会い、新規就農を決めたそうです。31棟のハウスでは水菜、ホウレンソウ、春菊などを栽培しています。「台風の時などハウスがだめになるのではないかと心配しました。仕事は大変ですが農業はやりがいがあります」と、茨城の地での就農にはつらつとした姿で話します。
 また第3期生の古賀篤さん(32)は修士号を持つ異色の就農者。つくば大学院を卒業後、日本農業実践学校を経て、ユニオンファームへ。古賀さんの就農に併せて、定年を迎えたご両親も茨城へ移住。ハウスの中では親子3人で収穫に取り組んでいました。古賀さんは「これからは規模を拡大していき、安定収入を目指したい」と一家3人での農業への希望を語ります。

ユニオンファームの目指すもの

 玉造社長は筑波大学の経済学部系の出身で、農業に関しては「さっぱり分からなかった」という文字通り畑違いの経歴です。しかし、父親の経営する「アイアグリ」に入社し、ユニオンファームの社長になり「農業は森林に例えると、樹齢何十年という木ばかりで、新しい植林をしていかなければ、農業という森がだめになる」と危機感を抱きます。
 新規就農希望者のための生産と販売の仕組みを確立し、茨城の地に新しい就農者を流入させ、茨城農業を活性化させるという強い意志を持っています。
 玉造社長は「将来は100人の就農者を目指します。その就農者の農業団地化を図り、FC化を築きたい」と、日本の農業の在り方に熱い一石を投じました。

【取材録】

 新規就農者による農地の団地化。さらに生産物を集約して安定的な販路を確保し、農家の収入を守る。この考えは基本的にはかつてのJAの在り方そのものです。ユニオンファームの取り組みは大きな組織からみればほんの小さなものかもしれませんが、有機野菜という分野に特化しての新たな挑戦です。取材した就農者たちは皆一様に目を輝かせ、土と生きる喜びにあふれています。玉造社長のいう100人の就農者は現実的で、その加速も増しているのは間違いないようです。
■有限会社ユニオンファーム
小美玉市中延1712
TEL0299-37-1100
>ホームページ/http://www.union-farm.com

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