COLUMN 01 未来農業報告書

HOMECOLUMNCOLUMN01 > 異業種からの農業参入

電気メーカーが転身へ。これまでにない農産物で挑戦

 白物家電を始め各電機メーカーの部品製造を行ってきた「テクモア」(笠間市旭町)が、自社事業の縮小・廃止の危機感から会社の事業を大きく方向転換。これまでに挑戦例が少ない「四季成りイチゴ」と「アワビタケ」という二つの農作物で、農業分野への参入を目指しています。

スピンオフで新会社設立

 「テクモア」から独立させた「ハウオリファーム」は農業生産法人の株式会社です。代表取締役の藤井裕久さんは、元キヤノンプリンターのトナーの製造に関わっていた根っからの技術屋でした。2011年2月から、JR笠間駅近くの128坪と680坪の二つのハウスで「四季成りイチゴ」の生産に取り組み、年間を通して安定して高品質なイチゴを出荷させようと試行錯誤の挑戦を続けています。

高い技術が不可欠な「イチゴ」

 夏場に出荷させるイチゴは通常のイチゴの栽培方法を捨ててやる覚悟が必要です。四季成りイチゴなどはどの県でも栽培方法が確立していません。イチゴは温度や日照時間に関係なく花を付けてしうため、花を摘み取るなどの重労働が欠かせません。また、温度が高くなると味が乗る前に赤く色づいてしまうなど、味も素っ気もなくなるイチゴができてしまいます。現在同社では北海道、新潟、京都の3県の生産者と共同歩調を合わせて、栽培法を模索しています。

成功すれば大化けも

 夏場のイチゴは輸入ものがほとんどで、生食ではなくケーキなどの加工用です。「夏秋イチゴ」と「四季成りイチゴ」が国内では代表的な品種ですが、藤井社長は「加工用などで大きなものはいらない。きちんとしたものを作れば、国産は喜ばれます。大きく化ける可能性があります」と、将来に期待を掛けています。現在は全量、国内のケーキメーカーに引き取ってもらっていますが、最終的には1日5トンの出荷を目指しています。

ファミレスで人気のアワビタケも

 常陸太田市内では2010年6月から「アワビタケ」の生産にも着手。鉾田市の「大洋マイタケセンター」や城里町の「七会きのこセンター」などの協力を受け、安定供給へ向けて生産体制の確立を図っています。「四季成りイチゴ」と「アワビタケ」というこれまでに余り注目されなかった農作物への挑戦。どちらもまだ始まったばかりの事業ですが、今年から本格的な出荷をスタート。同社の作物が家庭で気軽に食することのできる日は間近のようです。

テクモアを率いるトップの判断

 ハウオリファームを独立させたテクモアの稲田正行社長はバブル、リーマンショックと二つの経済危機に直面し会社経営者として、大きな決断を迫られ農業分野への参入を決断しました。「何をするにも行政や法律の壁が立ちはだかるが、立ち止まらず、あきらめずにやり続けることが大切」と話します。エンジニアからファーマーへと新たな挑戦ですが、次代を見据えた歩みを止めない行動力は親会社・テクモアの経営方針でもありました。

【取材録】

異業種参入の進む農業分野でも電気メーカーから農業へ事業転換を図る「テクモア」は農業の他、介護の分野へも参入しています。いわゆる六次産業へ視点を移して、社業の発展を目指していました。社運を賭けた新たな挑戦に臨むハウオリファームの藤井裕久社長は「事業がなくなり会社を辞めていった元社員たちを再び呼び戻したい」と、希望に満ちたチャレンジ精神で語ってくれました。

■株式会社テクモア
■農業生産法人株式会社ハウオリファーム
 茨城県笠間市旭町469-1

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