COLUMN 01 未来農業報告書

HOMECOLUMNCOLUMN01 > 「人」を育み「食」を守る茨城から発信する「農」のある暮らし

農業の基本は人づくりから

 デンマークの教育制度を導入、日本での先駆的な農業教育者として活躍した故加藤完治氏の意志を受け継ぐ真下さんは、多くの農業を目指す人たちと生活を共にし、農業の将来を見据えた実践、実習の日々を過ごしています。
 日本農業実践学園は全寮制で現在45人の就農希望の学生が、野菜作りや稲作りの教育を受けています。それらの学生は、20代から50代と年齢も経歴もバラエティー豊か。「昔は農家の出身者がほとんどでしたが、今は全員が農家の出身ではありません」と真下さん。新規に農業を始めたいという人たちに対して、真下さんは実習ばかりではなく、寝食をともにしながら、農業の基本から経営までを教えています。
 真下さんは、父親がこの学園の教師だったこともあり、農家ではないものの幼いころから身の周りには農業があるという環境に育ちました。大学では文学部で民俗学を学びましたが「日本の生活習慣の基本は稲作。それは民俗学と根底ではつながっているんです」と大卒後、迷わずに学園に就職しました。
 その教育の基本は故加藤氏以来、脈々と学園に息づいている「人間教育」の姿勢。朝は4時半から牛の世話をし、朝食前に農作業に励む日課は、規則正しい生活習慣が身につき、日本の食を守るという真摯な思考が育成されるのです。農業のかたわら剣道での精神修行もその加藤イズムを継承するのに一役買っているのかもしれません。

茨城は農業最適地

 「食の安全や食糧問題、環境問題などに関心を示し、自給自足や田舎暮らしを目指す人など、学生の就農動機はさまざまですが、幅広い見地から農業に入っていってもらいたい」と話す真下さんは、安易に有機農業やリスクを犯して就農する人たちに警鐘を鳴らします。しかし「周りの農家の理解を得ながら3年5年という時間をかけてやってもらいたい」ともエールを送ります。
 「茨城は北限、南限の地でさまざまな農作物を栽培でき、土壌も豊かで平坦という農業には好条件がそろっています。しかも、天災も少なく、首都圏など市場に近く、輸送コストもかからない土地です。農業後継者を補うためにも、茨城から新規就農者を増やしていきたい」と、夢を語ってくれました。
 広大な農地に囲まれた学園の中は、都会の喧騒から離れた別天地のようです。この日も黄色い帽子をかぶった幼稚園児たちがイモ掘りを体験し、真下さんの周りには子供たちの歓声が響いていました。「大和魂とは人に親切にする心。農業教育を通して人作りに貢献したい」と、穏やかな目で園児たちを見守っていました。

【取材録】

日本農業実践学園
茨城県水戸市内原町1496
TEL.029-259-2002
>ホームページhttp://www.nnjg04.com

●精神を鍛錬するための剣道場にて。初代校長・加藤氏の教育理念が受け継がれています。

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