COLUMN 02 いばらき野菜地図

HOMECOLUMNCOLUMN02 > 水戸の梅

茨城の象徴。

 県内では笠間市での栽培が多いですが、全国的にみると県全体の収穫量は決して多くはありません。とはいえ、茨城を象徴する果実だと思うのです。県外の人に、茨城をイメージさせる食べ物を問うと、「納豆」もしくは「梅」を挙げる人が多いこと、多いこと。梅干や梅をモチーフにしたお菓子が有名なこともありますが、きっとこれは県内に大きな梅の名所があることも一因でしょう。筑波山、そして偕楽園です。県内に二箇所も大きな見所があるのは珍しく、このことからも、茨城県と梅は古くから縁があったと思わざるを得ないのです。

 偕楽園は言わずと知れた日本名園のひとつ。徳川斉昭が1842年に造園し、約13ヘクタールもの広さのなかに100種3,000本もの梅の木があります。とはいえ、この全部が実をつける木ではありません。その多くは花を愛でるための花梅で、実梅は少ないのです。実梅の木の本数は定かではないようですが、その多くは白加賀という品種とのこと。ちなみに偕楽園の梅祭りの歴史は古く、水戸―上野の常磐線が開通したと同時に観梅列車が運行しました。

 しかし、この偕楽園。花の種類は多くあれど、なぜ梅だったのでしょう。斉昭公が梅の花の香りを愛したことに加え、梅の実は軍用と蓄えられるという計算の上だったのです。戦いが起こった際に、食料としておにぎりを持参すると考えました。その具材として梅が適していると考え、軍事に必要とされる人数や日数を計算した上で、植樹した梅の数を決めたという話もあります。花で人の気持ちを癒すだけではなく、果実で英気と力を養う。ある意味文武両道な果実ではありませんか。

 ちなみに偕楽園の梅は一般に販売もされています。毎年6月の上旬頃に梅の実落としを行い、状態がよいものだけを選別して販売しますが、わずか2日間です。ちなみに今年は6月11日と12日に行い、梅を求めて早朝から人が列を成しました。収穫量はその年によりますが、平均して8トン。一般に販売するだけではなく、梅干用にも漬物屋さんに卸しています。とはいえ青果物として広く出回っているわけではありません。なんというこのプレミアム感。幸運にも梅を入手できた知人から、大事に大事に扱われて私の手元にやってきたこの梅。どうやっていただこうかと嬉しい悩みで脳内が占領されています。

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いばらき野菜地図

ぽろたん
【オリジナル品種】
DATE 2011.11.28
落花生
【牛久市】
DATE 2011.10.31
あきづき
【オリジナル品種】
DATE 2011.09.29
しいたけ
【常陸大宮市】
DATE 2011.06.29
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