COLUMN 01 未来農業報告書

HOMECOLUMNCOLUMN01 > 効率的な量産体制で農業の企業化を図る

那珂市をキャベツの一大産地に

高原キャベツの名で知られる群馬県嬬恋村で、キャベツ農家の長男に生まれた黒岩社長。縁あって23歳の時に常陸太田市で農業に従事することになりました。2011年5月には、那珂市において、少品種大量生産型の路地野菜の生産を開始。選果、測定、洗浄、不要部分カットなどの一次加工を施し、主に業務用に出荷する会社を設立しました。那珂市の大地に、どんな夢を描いたのでしょうか。

嬬恋村と西オーストラリアから得た学び

 黒岩さんが茨城に来た17年前、当時の嬬恋村では、キャベツ専業農家は3年に1回当たれば良いという感覚だったそうです。ひと夏に中堅農家で6千万〜7千万、大規模な農家だと2億から3億の収入を得ますが、暴落すると簡単に数千万単位の損失が出る。それを平均すると、3年に1回当たり年があれば回していけるという計算です。ですから耕作地はできるだけ広い方が良い。国の推奨もあり増産が良しとされる地域なので、遊休農地や耕作放棄地はほとんど見られません。そして全体の生産量の9割は農協を通じて出荷されており、流通に農家の意向が反映されづらい環境にありました。
 また冬場12月から4月までは雪に閉ざされて栽培ができないため、多くは出稼ぎに行く。そうした中で農業を続けることに限界を感じ、農業を辞めて果菜類を扱う商社に入社。茨城に居を移し、ほどなく2年間の海外勤務に派遣されます。派遣先は西オーストラリア。そこで経験したのが3000エーカー(1500町歩)の畑で人参やキャベツを大量生産する、スケールメリットのある農業。帰国して思ったのは、このやり方の良いところを茨城の大地でやってみたいという思いでした。

那珂市で実現した自由裁量のキャベツ作り

 広々とした平地の圃場を考えたとき、候補に挙がったのが那珂市。2000haの大地があり、その中に400町歩の遊休農地と未利用地がありました。以前はごぼうや甘藷作りが盛んでしたが、中国産の安価な輸入品が入ってきたおかげで、小規模な農家は面積を増やすか農業を辞めるかの選択を迫られた時期がありました。北は日立、南は水戸と勤め先にも困らないし、大金を投資して農業を続けるよりもいっそ働きに出ようということで、これだけの耕作放棄地と未利用地ができてきた背景があります。
 「ごぼうが良くできる圃場というのは水はけも良いし、台風の影響もさほどない地域。ここでキャベツなどの路地野菜をやったら、一大産地が築けるのではないかと思いました。夏場は嬬恋や青森、北海道のキャベツが市場に出回りますし、この辺りの夏の気温は35℃まで上がるので、無理には作りません。逆に12月から2月の冬場に生産できますから、競争にさらされず販売できる。1日の気温の寒暖差が15℃はあり、品質的にも嬬恋にひけをとらない物ができています」

社会貢献と農業の地位向上につながる展開を

 グリーンファームの理念として、耕作放棄地の改善が1つの大きなテーマです。機械効率の良い広い圃場を確保するために、地権者に借地の依頼に訪れると、頼むから使ってくれという反応が多く、故郷の嬬恋村と比べて、農業に対する意識に違和感を感じたそうです。一方で、そうした地元の方とのコミュニケーションの中から、多岐にわたる働き方が発生してきました。「1ha2haの小さな畑を趣味で続けている高齢の農家さんもたくさんいて、そういう方に例えばジャガイモを作ってください、できたら買い取りますよと提案する。重くて収穫が大変だということであれば、その部分はうちでやらせていただきます。作るのはもうやめたけれど、草の刈り払いだけならできるという方には、それだけお願いしています。長年やってきた農業の技術を生かし、お盆やお正月に遊びに来たお孫さんにお小遣いをあげられるような、そんなできるところだけ参加する働き方もあると思うのです。
 そしてもう一つのテーマが、若手の人材育成。何よりも農業を魅力ある仕事にしていき、若者が未来を描ける職業にしていきたいと考えています。「これだけ栽培に適した環境と、首都圏へのアクセスが良い所で、こんな品目をやったら面白いだろうなということを若い世代に伝えたいし、それが成り立つ土台を作っていきたい。農業って捨てたもんじゃないよ、企業としてきちんと成立する産業なんだということを示したいのです」

【取材録】

株式会社グリーンファームの現在の取扱品目は、キャベツ、ダイコン、ニンジン、カブ、ジャガイモ等。設立から3期目を迎えた現在、卸会社を介して顧客を開拓しているところですが、いずれは直販も視野に入れ、選果場や加工場の新設も計画にあるとのこと。有機、慣行、減農薬などの言葉が一人歩きしているなか、健康な生産物を作るために適した農薬や肥料を使う方針であることを明言しています。「考え方は人間と同じ。インフルエンザにかかって自力で直すか、医者の診断を受けて適切な処方を与えるのか」という言葉が印象的でした。最終的には健全な個体を作るために、農業にはさまざまなアプローチの仕方があること。そして取り組み方によってさまざまに展開できる可能性のある産業であることを、改めて認識できました。

■株式会社グリーンファーム
那珂市後台2119-50
029-270-7833

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