COLUMN 01 未来農業報告書

HOMECOLUMNCOLUMN01 > 一粒の種から広がる未来

創業175周年を迎えた種苗会社の老舗が新商品を発表

 タキイ種苗は天保6(1835)年創業、世界でも最も歴史のある種苗会社のひとつです。京都に本社を有するものの、昭和36(1961)年に牛久市にタキイ研究農場茨城分場を開設。平成11(1999)年に現在地へ農場を移転し、新たな野菜の研究開発に取り組んでいます。
 
世界トップ5の種苗メーカーの誇り

 食と農業は切っても切れない関係です。安心・安全を要求する消費者。一方、それを提供するために極力農薬を使わず、労力を省きながら生産向上を目指す生産者。その両者のバランスの上に立ったコーポレートアイデンティティーがタキイ種苗の一貫した姿勢です。
 これまでに培った育種技術と最新のバイオ技術。その結果「病気や害虫に強い」「収穫量が多い」「荷造りや輸送がしやすい」「味が良い」「機能性成分が豊富に含まれる」といった品種を次々と開発。消費者と生産者がWINWINの関係が構築できる新品種を提供し、農業従事者ばかりではなく家庭菜園を楽しむ人々に絶大な信頼を集めています。

 
F1(一代交配種)のパイオニア

 F1は性質の異なる2種類の原種を掛け合わせることで、両者の優勢な性質をもった種を作り出すことです。タキイは世界初となるアブラナ科(キャベツ、ハクサイなど)のF1品種を開発しました。「甘くておいしく、病気に強い」「粒が大きく、実も一杯詰まっている」といった品種を発表。現在、日本で栽培されている野菜のほとんどがF1品種で、何らかの品種改良が加えられているのです。
 F1の特徴は育ちにくい環境でも多くの収量が確保でき、病気や害虫に対する抵抗性の高さが上げられます。さらに、味が良く、商品として出荷する場合に形が均一になり収穫期のばらつきがないなどの利点があります。この技術を確立したのもタキイの農場長たちの成果です。

 
茨城研究農場の役割

 稲敷市の竜ヶ崎飛行場に隣接する茨城研究農場は総面積13ヘクタールの敷地を持ち、8ヘクタールのほ場があります。その中に研究施設として環境試験室、作業棟、農機棟、機械設備棟、交配温室、育苗温室、育成ハウス、試験ハウス、展示ハウスなどの設備が設置されています。
 この施設では、渡辺宏和農場長のもと、関東地方の土壌・気候・風土に適した新しい品種改良に取り組んでいました。葉菜類ではキャベツ、ハクサイ、ブロッコリ、コマツナ、ツケナ。根菜類ではダイコン、カブ、ネギ。野菜類ではキュウリなどを育成し、日々研究を続けています。また、生産者への技術指導や見学者への対応など普及活動の場所として重要な位置を占めています。

 
消費者と生産者のために次々と生まれる新品種

 創業175周年を記念して新たに発表された新品種は8品種です。トマトのトップシェアを誇る「桃太郎」シリーズの「桃太郎プレミアム」は秋から春にかけて栽培できる品種でグルタミン酸含有量が多く、食味も最高品種に負けないルーキーです。機能性タマネギの「TTA-735」は一般地で栽培可能な秋まき品種。耐病性に優れた「TTM-061」は大玉のトマト。べと病などに優れ収穫調整のしやすいホウレンソウの「TPS-483」「TPSー484」。ほかに切り花用のヒマワリ「F1サマーサンリッチオレンジ45」、ハボタン「F1グロッシーレッド」 、ペチュニア「F1ティーバシリーズ」です。
 すでに発表されている「こどもピーマン」やスイートコーン「ランチャー82」、生育の大きさを調整出来るダイコンの「三太郎」、春にも収穫なキャベツ「夢ごろも」、根腐病に強いレタスの「シーカー」なども販路を広げています。

【取材録】

 世界有数の種苗会社の研究施設は利根川に近い、田園風景の中にあります。京都の種苗メーカーがこの地に研究施設を作ったのは、関東平野の真ん中という条件や寒暖両方の気候風土を体験できる土地柄でしょうか。タキイ種苗の施設には全国各地から生産者がバスを仕立てて訪れていました。新品種に期待を寄せる期待の大きさがうかがえます。病害虫に強く、育てやすく、しかも食味と安全を優先したタキイ種苗は茨城の地でさらなる研究開発を続けています。

■タキイ種苗株式会社
 茨城県稲敷郡河内町生板7712-1
>ホームページ http://www.takii.co.jp/

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